  | はなすこと
こどものころからずっと
自分の気持ちを伝える事が苦手だった。
今も少しそういう部分は残っていると思うが
随分と減った。
というのも、彼女と暮らすようになってから
お互い笑ってすましてばかり居られない事が
多々あって、当然だが口論になる。
以前のボクならそんな時も
何となくごまかして済ましていた。
誰とも適当に距離をとって
傷付けない傷付かないようにしていた。
でも、そんな事ばかりしていると結局
へんな気持ちでココロが一杯になって
笑えなくなってくる事に気付かされた。
いつも決まって彼女の方から
「何だ!言いたい事があるならはっきりしろ!」と。
ボクはいやいや話し出す。
簡単な事をつい難しく考えがちだ。
そんな時いつも本筋とは違ったところでボーッと
「はなすこと」を考えてたりする。
「何で人は話すんだろう?」とか
「言葉で何が伝わるのか?」とか。
が、段々感情が先きに立って
つい大声張り上げたり、机叩いたりしていたり。
こんな自分見た事無いと自分で気が付くのにも
時間がかかったけど。
とにかく「思った事を、気持ちを伝えたい」と
思うようになった。
土曜の午後、車も通らないかげろうの田舎道を
大声で歌いながら自転車でぶらぶら走ってた。
小学生の頃。
そんな自分を取り戻せと
教えてもらっている様だった。
できもしないのに大人のフリをするのは止めろと。
何で話すのか今でも良く解らない時もある。
目で見ることでコミュニケーションの大部分が
成り立つと考えていた時期もあった。
目だけではわからない事がいっぱいあって、話す事、
聞く事で拡がる事があるという事が
40にもなってようやく
少しわかりかけてきたような。
まだまだ気持ちを伝える事は苦手だ。
でも、伝えて行きたいと思うようになった。
人間は案外そんなことのために生きていたりするのかも、
かも、かも。
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大久保ナオ登 :イラストレーター
1964年 岐阜県生まれ。
京都外国語大学中退、
1986年 東京デザイナー学院名古屋校卒。
第5回 ハンズ大賞入選。
第16回 愛知県優秀広告作品展入選
1996年 ARTBOX イラストファイルオーディション入選
1997年 9th Dimentional Illustrators Awards Show銅賞
1998年 10th Dimentional Illustrators Awards Show銅賞
1999年 11th Dimentional Illustrators Awards Show銅賞

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